AGAの診断や治療は保険診療 対象外

AGA（男性型脱毛症）の診断や治療は、基本的に保険診療の対象外であり、自由診療となります。

これは、AGAが生命に直接関わる病気ではなく、容姿を美化するための治療とみなされるためです。医療保険制度は、病気や怪我など、健康に直接的な悪影響を及ぼす治療に対して適用されるものとされています。

しかし、いくつか例外的なケースがあります。

AGAの診断・治療が保険適用にならない理由

• 美容目的とみなされる: AGAは、健康上の重大な問題を引き起こすものではなく、主に審美的な問題として捉えられています。そのため、風邪や骨折などの病気とは異なり、保険診療の対象とはなりません。

• 医療費控除も対象外: AGA治療は、医療費控除の対象となる「医療費」にも原則として含まれません。

保険が適用される可能性のあるケース

薄毛や脱毛の症状で皮膚科や専門医を受診した場合、以下のような状況では保険が適用される可能性があります。

1. AGA以外の脱毛症の診断と治療: AGAだと思って受診したものの、診察の結果、以下のような病気が原因の脱毛症であることが判明した場合は、その病気の治療に対して保険が適用されます。

   • 円形脱毛症: 自己免疫疾患の一種で、治療法によってはステロイド剤や免疫抑制剤などが保険適用となることがあります。

   • 脂漏性皮膚炎: 頭皮の炎症やフケ、かゆみがひどい場合、その皮膚炎の治療（抗炎症剤や抗真菌剤など）は保険適用になります。

   • 接触性皮膚炎: シャンプーや整髪料などによるかぶれが原因の炎症に対する治療。

   • びまん性脱毛症: ストレス、ホルモンバランスの乱れ、栄養不足などが原因で起こる脱毛症。原因が特定されれば、その治療は保険適用となる可能性があります。

   • 甲状腺機能異常や自己免疫疾患など、全身の病気に伴う脱毛症: これらの基礎疾患の治療に対しては保険が適用されます。

   • 梅毒性脱毛症: 梅毒の症状として現れる脱毛症。

2. 頭皮の炎症や皮膚トラブルに対する治療: AGAの有無にかかわらず、頭皮に赤みやかゆみ、湿疹などの炎症や皮膚トラブルがある場合、それらの症状に対する診断や治療（塗り薬や飲み薬など）は保険診療となることが多いです。これは、あくまで皮膚炎の治療であり、AGA治療そのものとは切り離して考えられます。
   
   

受診時の注意点

• 保険証の持参: AGA治療が目的の場合でも、念のため保険証は持参しましょう。もし診察の結果、上記の保険適用となる病気が見つかった場合に、保険診療を受けることができます。

• 医師への相談: 薄毛や抜け毛の悩みを伝える際に、フケ、かゆみ、赤みなどの頭皮の症状がある場合は、それらを具体的に伝えるようにしましょう。医師が適切な診断を行う上で重要な情報となります。

• 料金体系の確認: 受診前に、クリニックのウェブサイトなどでAGA治療の料金体系が自由診療であることや、その他の頭皮トラブルに関する保険診療の取り扱いについて確認しておくと安心です。

まとめると、皮膚科や専門医で「AGA」と診断され、その治療を受ける場合は基本的に保険適用外の自由診療となります。しかし、薄毛の原因がAGA以外の病気だったり、AGAに付随して頭皮の炎症などの皮膚トラブルがあったりする場合は、その部分の治療は保険診療となる可能性があります。